こんにちは、歯科医師の西川です。今回はマウスピース矯正が現在どこまで進化しているのかについてお話ししていきます。ちなみに今回書く内容は日本の中で一般的に普及している技術について書いていますので、興味がある方が治療受けられる範囲でお話ししますが、本当の最新はもっと先を進んでいます。ただまだ広く普及していない技術などもあるので、今回は”受けたい方が受けられる”内容に絞ってお話ししていきます。
最新のマウスピース矯正技術の進化
マウスピース矯正は、目立たない装置で矯正治療ができる方法として、多くの方に選ばれています。さらに近年、この治療法は最新技術の導入によって大きな進化を遂げています。これにより、治療の正確性や効率が大幅に向上し、患者さまにとってより魅力的な選択肢となっています。
光学スキャンとAIで精度がアップ!
かつて歯型を取るときは、アルジネートという粘土状の素材を口に入れて、3~4分待つ必要がありました。この工程は苦しいと感じる方も多かったですが、現在では「光学スキャン」の導入によってその負担が軽減されています。
光学スキャンは、歯を瞬時にデジタルデータとして記録できる技術です。これにより、正確な歯型データを取得し、そのままデジタル上で治療計画を立てることが可能になりました。
さらに、AI(人工知能)が治療計画のサポートをすることで、歯を動かす順番や最終的な位置を効率よく計算できるようになっています。この技術により、治療の精度が大きく向上し、よりスムーズな治療が実現しています。
治療期間を短縮する「光加速装置」
最新技術の中でも特に注目されているのが「光加速装置」です。この装置は、歯を支える骨(歯槽骨)に近赤外線を照射することで骨代謝を促進し、歯を動かしやすくする仕組みです。
通常、マウスピース矯正では1週間ごとにマウスピースを交換しますが、光加速装置を使うとこの交換サイクルを3日に1回に短縮することが可能になります。その結果、治療期間が約半分に短縮されるケースもあります。
また、光加速装置には矯正中の痛みを軽減する効果もあるため、「早く治療を終えたい」「痛みが気になる」という方には大きなメリットがあります。
より詳しく知りたい方は、過去の記事「治療期間が半分に!?光加速装置の驚きの効果とは」をご覧ください。
課題とこれからの期待
技術の進化により多くのメリットが生まれている一方で、マウスピース矯正にはまだいくつかの課題もあります。例えば、AIが治療計画をサポートしてくれるとはいえ、歯科医師の専門知識や経験が不可欠です。特に、患者さまの骨格に合った最適な歯並びを実現するには、診断力が大きなカギを握ります。
また、日本ではマウスピース矯正についての教育が十分に行われておらず、大学では一切マウスピース矯正について教えていません。ですのでマウスピース矯正に詳しい歯科医師がまだ少ないのが現状です。今後は、治療を提供する側の教育や知識向上がさらに重要になっていくでしょう。
まとめ
最新の技術によって進化を続けるマウスピース矯正。光学スキャンやAI、光加速装置などの導入によって、治療はますます正確で効率的になっています。これにより、治療期間の短縮や痛みの軽減といった患者さまにとってのメリットが広がっています。
しかし、技術の進化だけでなく、歯科医師の知識と経験が組み合わさることで初めて、理想的な歯並びを実現することができます。治療を検討している方は、ぜひ最新技術を導入している信頼できるクリニックを選び、安心して治療を進めてください。